5月中旬は、バラが咲き始めるころ。
どんなにせわしない日々でも、庭先やベランダに咲きこぼれるバラは、わたしたちの瞳に、心に、すっと飛び込んでくるような魅力がある。
がんばりすぎないガーデニングで育てている、強く健やかで、そして美しいバラを紹介。
CONTENTS
- 古来、世界中で愛されるバラ
- バラの花色、花形、香り
- バラの選び方のヒント
- TIPS【コレだけ】わが家でおこなうバラのお世話
- 5月中旬 その他の庭の花
●古来、世界中で愛されるバラ
バラは、北半球に広く自生し、日本を原産とするバラは、『万葉集』に収められた歌にも詠まれているノイバラ(野茨)やハマナス(浜梨)。香料用や薬用として、紀元前から人々の生活と美意識に広く深く根を張り、中世以後、7種類ほどの野生種から、世界中で数万もの園芸品種がつくられた。その花姿はどれも、質の良い、繊細な布で丹念に仕立てられたドレスを見るよう。かぐわしい香りは、古代エジプトのクレオパトラ、古代ギリシアやローマの貴族や詩人たちに熱狂的に愛された。
●バラの花色、花形、香り
色は赤、白、黄、オレンジなど、また赤×白、赤×オレンジなど複色の花もある。花の形は「剣弁高芯咲き」という花の真ん中に向かって花弁がより高く立っているもの、やや丸っこく花弁が中心を包み込むように咲く「カップ咲き」、平たい「ロゼット咲き」などがあり、小輪から大輪まで、花弁が基本型の5枚から100枚以上のものまで多彩。
香りは、クレオパトラも愛した甘く華やかな「ダマスク・クラシック系」、紅茶に似た「ティー系」、果物のような「フルーティ系」等々。
●バラの選び方のヒント
庭やベランダなど、身近で愛でたいと思えば、花姿の好みに加えて一期咲き・四季咲きなど「咲く時季」、木立型・つる性・半つる性などの「育っていくかたち、樹形」が選ぶ際のよいヒント。
鉢植えなら木立性、狭くても庭があるなら、つる性のバラが一株あれば初夏の庭が華やぐ。ホームセンターなどで購入できる品種は、剪定(花がら、枝や葉を切ること)、肥料、植え替え、害虫などに気を配れば、比較的育てるのも容易。
「あのバラに出会える」と思えば、芽吹きから葉の成長、つぼみ、そして開花まで、心ときめく体験ができますよ。室内で美しい花びらがはらはらと落ちるまでともに過ごすのも、ちいさな楽しみ。
【ゆるゆるガーデニングで育てているバラ】
バラの品種 | 樹形 | 花色 | おすすめポイント |
サマースノー、春霞(サマースノーの枝替わり) | つる性 | 白、ピンク(春霞) | 小輪の可憐な花が房になって咲く。とげがほぼない! |
プリンセス・ミチコ | 木立性 | オレンジ | ティー系のほのかな香り |
ピエール・ドゥ・ロンサール | つる性 | クリーム色×ピンク | ティー系のほのかな香り。カップ咲きの花が咲きこぼれる。鉢で育てています。 |
アンジェラ | つる性 | 濃いピンク | わが家では日照条件の悪いところにあったので、現在場所を変えて養生中。本来は、とても元気で小輪の丸っこい花がたくさん咲く。鉢で育てています。 |
バイオリーナ | 木立性 | ピンク | やさしい花色と、フルーツ系のゆたかな香り。鉢で育てています。 |
【コレだけ】わが家でおこなうバラのお世話
- 花がら摘み:花が咲けば、次の花を咲かせるために、花のついた枝を2分の1くらいの長さに、5枚葉の上で切る。
- 剪定:木立性や鉢植えにしてあるバラは、冬の休眠中 に葉はすべ取り、枝は全体の2分の1くらいに切る。枯れた枝、細くて元気のない枝は根本から切る。つる性のバラは、フェンスやネットに誘引してある麻ひもをほどき、葉を取り、枯れた枝、細くて元気のない枝は根本から切る。株元からシュートという勢いのある枝が出ていれば、それを残し、全体のバランスを見て、古い枝は切ってしまう。つるが地面と水平になるよう、誘引し直す。
- 肥料と害虫対策:市販のバラ用肥料、バラ用殺虫剤の説明書きどおり。
- 植え替え:鉢から抜き、枯れてしまった根などをとり、鉢をきれいにして、バラ用の土として市販されているものを使って植え直す。株が小さいうちは、ひとまわり大きい鉢に植え替える。市販の土は養分の肥料等のバランスが良いため、土が残れば、地植えのバラの足元にもかける。
- 水やり:庭植えは、夏に二日に一回水をかけるくらい。鉢植えは草花の鉢と一緒にほぼ毎日。ただし、枝葉の様子を見て、隔日のときも。バラが「お水ほしいなあ」という感じの状態で少し耐えられるようにするような気持ちで。葉が茂ると、雨が降っても土が乾燥したままのことがあるので注意。冬の休眠中は控えめに、2,3日に一回くらい。