雨の季節には、部屋のなかで花と過ごす時間も長く感じられます。
毎日、表情を変えていく花、葉、木の姿。その移ろいに目を凝らす時間に心癒されます。
一日ごとに楽しむ芍薬の花の移ろい
5月の終わりのいけばなのおけいこで、大好きな芍薬(シャクヤク)が登場。
シュッとしたフトイは、今回のものは特別に大きく元気で、先端の穂が線香花火のよう。
芍薬のまあるいつぼみがほころびかけていて、「明日には、咲くねぇ」と先生がおっしゃり、「二本とも、うまく咲きますように」と先輩方とともに念じて、帰宅。
うまく開かずに枯れてしまうときも、あるのです…。
帰宅後しばらくすると、つぼみはかわいらしい練り切りの和菓子のようになっていて…


今にも咲きそう……!

翌日、開花。「芍薬(しゃくやく)」の名の通り、もとは薬として中国から渡ってきた花だそうですが、江戸時代にはその美しさに茶人をはじめ人々が夢中になって、多数の園芸品種が作出されたといいます。

もう一本のつぼみも開き始め…

開花……、と思ったらこの直後先に咲いた花は、はらはらと花びらを落としてしまいました。
花弁が床に落ちる音さえするような散りぎわ。静かな余韻も、いけばなのうち、なのかな。
梅雨を照らすようにゆったり花開くゆり
次のおけいこは、ドウダンつつじとゆり。

大きなゆりのつぼみがゆったり開いていくのは、とても優美な様子。

ゴージャスなカサブランカなど、ゆりもたくさんの種類がありますが、これは静かな美しさが魅力のテッポウユリのよう。
外は曇り空。薄暗い部屋で、真っ白なゆりがいっそう輝きます。

梅雨の雲を吹き飛ばすように明るいカーネーションも、おけいこに登場しました。
にこにこしているおひさまのようなカーネーションを見て、こちらも笑顔になります。
夏は、すぐそこに。
