爽やかな風が湿度を帯びる、梅雨の始まり。どんどん重くなる空気が、雨が降り出してふっと軽くなると、庭の片隅で、淡く浮かび上がるアジサイの花に気づく。梅雨も悪くない季節だな、と思う瞬間だ。
梅雨を彩る青のグラデーション
「アジサイ」の名は「あづ(集)」「さい(真藍)」が語源ともいわれ、青い花がかたまって咲く、という意味。
花びらに見えるのはガク片で、花はごく小さい。枝先に多数が集まって咲き、はじめは白く、しだいに青へ。
色が変わることが、心変わりと結び付けられ、近世まではひっそりと咲き続けたという。西洋では、この色変わりが珍重されて、シーボルトらにより持ち帰られ、大人気となった。
現在、さまざまなアジサイを楽しめるのは、ヨーロッパでより大きな花と多彩な花色に改良されたものが、海を渡って再び日本へ帰ってきたため。
涼しげな白い花房が魅力のアナベル
白く大きな花の玉ができるアナベルは、アジサイに近い植物で、アメリカノリノキの園芸品種。直径20~30cmにもなる”花手まり”ながら、清涼な白さの小ぶりの花が集まって咲き、人気が高い。周囲でも「挿し木して」と希望する声があるので、今年、挿し木挑戦予定。