
【今治・瀬戸内】朝日と夕日が楽しめる絶景スポット
本州と四国を結ぶ「しまなみ海道」。この海の道は、広島県尾道市から愛媛県今治市へと6つの島々を経由し、7つの橋を渡ります。
四国に向かって最後の橋、来島海峡大橋を渡ると、愛媛県の「高縄半島」という半島の突端部近くに位置する今治市。
この橋の到達地付近を境に、東側の海岸線では朝日が海から昇り、西側では夕日が海に溶けていく光景が楽しめるというわけです。
一日の始まりを朝日を見て迎えるか、一日の終わりを夕日を見て過ごすのか。散歩には、わりと大切な選択……!
土曜日は朝日、日曜日は夕日、というのが最高の週末。とはいっても、土曜の朝は寝ていたいし、日曜の夜は早く夕食・お風呂など済ませて寝たいし、というのもまた本音……


今回は、高縄半島の東側、朝日にパワーをもらえる「桜井海岸・石風呂」の散歩記。
志島ケ原で小さな発見 綱敷天満宮の”ふしぎな岩”
今治市内、桜井漆器や湯ノ浦温泉といった古き良きものも残る桜井地域は、しまなみ海道を今治インターで降り、東へ車で20分くらい。小松を経由して松山や高松へ続く高速道路の入口「湯ノ浦」があるところ。
地元民に愛される天神さん「綱敷天満宮」
ここには「志島ケ原」と呼ばれる浜があり、目的の浜辺に行く前にちょっと寄り道。国史跡・綱敷天満宮が鎮座しています。

「綱敷」は、大宰府へと左遷されていく菅原道真がここへ漂着したとき、村人が漁の網を丸く敷いてもてなしたのが始まりとか。


お正月には初詣、早春には梅まつり、夏は海水浴と、地元の人でにぎわう天満宮。


だけど、社殿から松林を東へ進んでいくと、道真が衣を掛けて干したという大きな”岩”があることは、あまり知られていない、かも?
衣干岩にまつわる地名の由来 志島ケ原と綱敷の物語

その「衣干岩」は、松原を抜けて、河口に突き当たった場所にあります。

護岸された堤防の内側で、草に囲まれてこの岩がたたずんでいる光景が、とても不思議、というか印象深い、というか。
これって、よく海中でちょっと頭を出している岩そのもの。ちょうど、この場所から見える、あの海の中の岩のような……。

昔は、この衣干岩も海に浸かっていたのかな、たぶん。

道真は嵐の中、ここへ漂着したそう。「あの島に無事上陸したい」と願ったことから「志島」の名が起こったとも。
里人たちは、一行の船を何とかここへこぎ寄せ、岩上に御座所を設けたが、突然のことで準備もなく、漁船の綱を丸く敷いて円座とした――という言い伝えが「綱敷」の詳しい由来。
さて、この河口を越えて目的の浜辺へ向かいます。

【石風呂海岸】薬師如来と波音に癒される今治の浜辺

綱敷天満宮から、衣干岩のある河口の漁港を越え、海沿いの道「向山沖浦線」をさらに東へ。
車道は、大きな岩場のトンネル前で終了していますが、このトンネルを徒歩で抜ければ、目的地の浜辺。
この岩場の上には、小さなお堂が建っており、「石風呂薬師堂」と呼ばれているのです。

「石風呂」とは、お堂の下の岩屋(岩をくりぬいてある)で、コシダというシダを焚いて行われていた「蒸し風呂」、いわば天然サウナのこと。
この石風呂には、空海が石窟を開いたという昔から現代まで、病気療養のための湯治客が、遠方からも訪れていたといいます。
が、残念ながら、石風呂は現在休止中。

ここへ来る目的。それはただ、浜辺に座り、波の音に身をまかせるため。
人もサギも、のんびりと釣りを楽しむような浜辺では、時を忘れ、ただ波音が心身をほぐしてくれるような感覚に。
石風呂には入れなくても、左手に薬壺をもつ薬師如来は、病気の人々を救う仏さま。きっとすべてが整うはず。


冒頭写真のように、朝日も穏やかで美しいですよ。
夕日が美しい高縄半島西側の海岸線での散歩気はこちら
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